第84回日本公衆衛生学会総会で近藤特任教授がシンポジウムの座長を務めました。

シンポジウム55:「EBPMに寄与するエビデンスづくり―日本老年学的評価研究(JAGES)25年の歩みと教訓」

開催日時: 2025年10月31日(金)15:20〜16:50

会  場: 静岡市グランシップ(第1会場・中ホール)

2025年10月29日〜31日に、静岡グランシップで開催された第84回日本公衆衛生学会総会において、シンポジウム55「EBPMに寄与するエビデンスづくり―日本老年学的評価研究(JAGES)25年の歩みと教訓」が行われました。本シンポジウムでは、近藤克則特任教授(千葉大学)が座長を務め、日本老年学的評価研究(JAGES)が25年にわたるエビデンスとこの先の10年間に向けた必要な取り組みについて議論が展開されました。

JAGES のホームページ:https://www.jages.net

冒頭、近藤特任教授より、JAGESがこれまでどのようにエビデンスを蓄積し、政策形成に寄与してきたか、その歩みと本シンポジウムの企画趣旨を説明しました。

続いて、WHO神戸センターのRosenberg 氏から、「見えづらいことの『見える化』への限りなき挑戦」と題して、グローバルヘルスについて発表されました。厚生労働省医政局医療情報担当参事官室の長嶺氏からは、「国の介護予防施策の変遷と自治体支援の重要性」と題して、国内の保健・介護予防行政について国の立場からの知見が共有されました。公衆衛生学の研究者の立場から、東京科学大学の相田教授により「ヘルスプロモーションを広げる多様な健康の社会的決定要因の実証」というタイトルで、健康日本 21(第 三次)やヘルスプロモーションにおける健康の社会的決定要因の変遷についてプレゼンいただきました。さらに、日本福祉大学の斉藤教授から、「介護予防分野でのPFS/SIBを活用した産学共創研究の可能性」と題して、介護予防分野における成果連動型民間委託契約方式(PFS:Pay For Success)による社会実装を視野に入れた産官学民共創研究について、JAGES の 25 年の歩みにおける共同・共創研究事例を交えての報告がありました。報告内容を踏まえ、今後のEBPM推進に向けて優先して取り組むべきテーマ、JAGESが残した教訓、そして克服すべき課題について、会場の参加者から質問を受けつつ、ディスカッションを行いました。

本シンポジウムを通じて、JAGESが、行政、研究、国際機関をつなぐ学術的基盤として機能してきたことが改めて確認されました。特に、25年間にわたるJAGESの継続的な研究蓄積が、単なる学術的成果に留まらず、近年の政策文書に採用された社会的孤立、健康格差、ソーシャル・キャピタルといった重要概念のエビデンス創出をリードしてきたことを改めて確認することができました。そして、この先の10年間を見据えたエビデンスづくりにおいても、JAGESが培ってきた産官学民の連携・共創研究のモデルは、政策立案と現場実践を橋渡しするうえで不可欠と感じました。

本シンポジウムは、学術研究が社会の制度や実践に具体的に貢献していく道筋を示し、エビデンスと政策、現場実践を繋ぐ研究の戦略的な重要性を再認識する貴重な機会となりました。

 学会長 尾島教授と写真撮影

 座長の近藤特任教授と演者のRosenberg 氏

 演者:Rosenberg 氏

 演者:長嶺氏

 演者:斉藤教授

 演者:相田教授

 会場から質問を受付中

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です